こんにちは。
代々木ゼミナール地理講師の宮路秀作です。
もうすでにご存じのことと思います。
2月17日(金)、わたくしが執筆した、人生初の一般書が発売されました。
タイトルは、
『経済は地理から学べ!』(ダイヤモンド社)
です。
まずは近況報告から。
2月20日付、3月9日付の日経新聞の広告に引き続き、3月14日付の朝日新聞にも広告を打って頂きました。
やはりメディア広告の効果は大きいようです。
そのおかげで、3月15日に2回目の重版が決まりました!
ありがとうございます☆
前回の重版が発売3日目。
今回の重版がそれから約3週間。
良いペースです☆
今回の重版は3刷。
発行部数は12000部とのことです。
初版=8000部
2刷=20000部
3刷=12000部
合計40000部です。
さらに、3月18~20日の3連休、多くの読者の方がお買い求めくださったようです。
わたくしも、紀伊国屋書店のオンラインウェブストアでチェックしていたのですが、3月18日に在庫が33冊だったのですが、3月20日には「ウェブストア用在庫がございますが僅少です」となっていました。
たった3日で何があったのでしょうか。
余勢を駆って、3月27日の読売新聞に広告を打っていただきました。
「発売1か月でたちまち4万部!」の文字が躍っています。
『経済は地理から学べ!』(ダイヤモンド社)を買ってくださった読者のみなさま、本当に感謝いたします。
さて、今回は「執筆を初めてから、本が発売されるまでの経緯」について、お話ししたいと思います。
よろしくお願いします。
本が出版されてから、よく質問されます。
「これ、どれくらいの期間で書き上げたの???」
実際に掛かった期間は3週間です。
「えっ!? そんなに短いの!?」と思われるか、「そんなに時間かかったの???」と罵られるかは分かりませんが、3週間というのが嘘偽らざる回答です。
しかし!
想像はつくかと思いますが、書くまでの準備期間があります。
構想を練る期間とでも言いましょうか。
一つの項目について、「核となる話は何か?」、「マクラの部分にどんな話をもってくるか?」、「どんな締めにするか?」など、箇条書きしたものを作るのに3か月くらいは要しました。
もっと手際よくできれば良いのでしょうけど、わたくし、あんまり仕事は早くありません。
自分でいうのもなんですが、結構丁寧に仕事しますので。
しかし、9月に調べたデータを元に、いざ書こうと思って改めて11月にデータを確認すると順位が変わっていて、内容の半分くらいボツになった項目もあったりしました。
特にデータの変動が激しかったのが、アフリカ諸国に関するものでした。
日進月歩で成長しているのでしょうか。
話は変わりますが、わたくしの家には、かつての教え子たちが良く遊びにきてくれます。
飯喰って、お酒飲んで、さながら体育会の合宿所のようなときもあります。
麻雀卓になるコタツがあるのをご存じですか?
わが家にあるテーブルがそれなのです。
高校の同級生だった友達が、結婚を機に、「もっと洒落たテーブルを買うから要らないのであげる!」と頂きました。
そのとき、わたくしは「そうか、結婚すると麻雀なんてしなくなるのか…」と意訳しました。
わたくしも結婚したら、このテーブルを誰かにあげることになるのでしょうか。
さて、その教え子たちはわたくしの家に麻雀をしに来るときもあります。
お金とか賭けたりしていませんよ。 ← 本当
昔、どこかの県警の人たちが、賭け麻雀をバレて「いや、図書券を賭けていた!」と嘯いた事件がありましたよね。
目の前で教え子たちが麻雀をしています。
ジャラジャラと楽しそうです。
「メンタンピン一発ツモドラドラ! 16000点!」
なんて声が聞こえてくるわけです。
「それ、点数間違ってるよ」なんてツッコミながら、原稿を書かなければなりません。
もう原稿をうっちゃって麻雀しようかと、何度も思いましたが土俵際で踏みとどまりました。
それでも、締めきりを一週間過ぎてしまいました。
そして編集担当の中村さんの手に委ねます。
しかし、「これ最高のデキ! いぇーい!」と思って提出した原稿は、中村さんの手に掛かればまたさらに良いものへと昇華するのです。
わたくしが最初に出した項目だけ見ても、ほとんどが変更されました。
以下、一例ですが元原稿での項目と実際の項目の比較です。
P72
前 → アンカレジ空港の今昔物語
後 → 北半球の重要拠点、アンカレジ空港が持つ地理的優位性
P78
前 → BTCパイプラインはジョージアを経由する
後 → カスピ海の原油を巡るパイプライン敷設の”落としどころ”
P116
前 → ノルウェーがEUに加盟しない理由は?
後 → EUに加盟しない実力国、ノルウェーの正体
P146
前 → アメリカ合衆国は木材の輸出額が多く、輸入額も多い
後 → 物理距離は4000km! アメリカは木材を買う? 売る?
P214
前 → 一人っ子政策と今後の中国経済
後 → 一人っ子政策の廃止 - 中国経済の光と影に迫る
P234
前 → そういえば「イギリス料理」が美味いと聞いたことがない
後 → イギリス料理が「マズい」と言われる本当の理由
このブログをお読み頂いている皆様のお手元にございます(というかすでにご購入していただいているはずの)、『経済は地理から学べ!』(ダイヤモンド社)でご確認ください。
ねぇ???
読みたくなる項目になっていますでしょ???
自分がせっかく生みだしたものを、いとも簡単に書き換えられる。
普通はあんまり良い気はしません。
しかし、わたくしはむしろ「面白い本になるぞ、これ!」と他人事のように思えました。
そして、わたくしは「要求された仕事をこなしてこそプロ」という信念を持って仕事をしていますので、中村さんから要求されたことは、全部呑んでそれに応えるように加筆、そして修正しました。
いきなり、「トランプがTPPを離脱する理由を地理的視点で書いて欲しい!」とか依頼が来るわけです。
書けるとか、書けないとかは関係ないのです。
書かなきゃいけないのです。
勉強しましたよ!
依頼が来た段階で書けなくても、勉強して書けるようになれば良い。
ただそれだけのことです。
受験もそう。
4月の学力で受験するわけではないのです。
そこから10か月後の自分が受験するのですから、10か月の間に合格に必要な学力を身につけるためにはどうすれば良いかだけを考えれば良いのです。
さて実は、一箇所だけ、削られた箇所を復活させてもらったところがあったくらいです。
それはまた次回にでも。
「いや! ここはこれで行く! 絶対に私の原稿の方が面白い!」
とごねるのは簡単ですが、それは自分が面白いと思っているだけなのです。
それは本が売れるために必要なこだわりなのでしょうか?
編集者はより一冊でも多く売るために、読者層を考えて編集をします。
みんな自分の生活を豊かにするために、目標を達成するために生きているのですから。
ですので、より売れる本にするためにも、編集者の意見を無視することは自殺行為です。
わたくしはそう思っています。
今回本を書いて、初めてダイヤモンド社とお付き合いをしました。
これまで中経出版(現KADOKAWA)や学研の編集者の方ともお仕事をしました。
そして今、思うことがあります。
それは何か?
編集者も人間。
だからこそ、「この人とまた仕事したい!」と思える著者に、原稿はお願いしたいものだと思うのです。
あんまり自分の意見ばっかりごり押しして本を書いても、そんな扱いづらい著者とまた仕事をしたいと思うでしょうか(反語)?
ある著者がいたとします。
例えば著作物が6冊あったとします。
その全てが、それぞれ異なる出版社から出版されていたとします。
その状況って、要するにそういうことです。
独りよがりでは良い本は作れません。
一冊の本が出来上がるまでに色々な人が携わって、みんなで「売れる本」にするために知恵を絞ります。
本を作るということはチームプレイなんだと改めて思った次第でした。
すみません、「本が発売されるまでの経緯」を書くつもりが、回顧録になってしまいました。
もうだいぶ長くなってしまいましたので、続きはまた次回書きたいと思います。
引っ張るのもPVを増やす常套手段ですから(ニヤニヤ。
みんなで作った『経済は地理から学べ!』です。
ただいま40000部!
これが50000部になったら、なぜか印税で教え子たちに焼肉をご馳走することになっています。
目標を達成した人が、自らお金を出してご馳走するって、なんだか罰ゲームのようです。
10万部目指していきます!
引き続き、拙著『経済は地理から学べ!』をよろしくお願いします。
https://www.diamond.co.jp/book/9784478068687.html
※ダイヤモンド社の拙著紹介ページに飛びます。